1960-70 年代に起こったベトナム戦争をモチーフにした FPS。南ベトナムの Nui Pek に基地を置く米軍特殊部隊 USSF (いわゆるグリーンベレー。現地分隊である LLDB との共同戦線を展開) 内の、通称 A-Team の軍曹 Steve R. Hawkins となって五人の部下と共に主に密林を舞台とする戦闘を切り抜けるシングルプレイヤーキャンペーンのほか、狙撃手や衛生兵などからなる全六種のクラスを選択しての対戦が行えるマルチプレイヤーモード (GameSpy 対応) などが用意されている。

共にチェコの会社である開発二社のうちの Illusion Softworks 社は、2002 年に話題になった PC 用アクションゲーム Mafia の開発元でもあり、本作の開発にあたっては Mafia 制作チームの協力を得てのデータ転用や、こちらも開発元を同じくする "Hidden & Dangerous" チームの協力もあった。

シングルプレイヤーデモのみプレイ。本作にまつわる各データをリリース順で並べると "マルチプレイヤーデモ > リテール版 > シングルプレイヤーデモ" という流れだったが、個人的には当初そこまで注目していないタイトルのひとつだった。しかし製品版の発売以降、関連 Web などに好評の声があがり出したので "とりあえずシングルプレイヤーデモを…" と思い直しての挑戦。
傍から見れば同じようなゲームにしか見えない FPS を次々とプレイする理由というのは、やはり未だプレイヤーそれぞれの思う理想のゲームが出ていないという事でもあるのだろうか。

シングルデモに用意されたステージはひとつだけで、他部隊と共にジャングル上空を飛んでいた自分たちのヒューイ (汎用ヘリ) がベトコンの攻撃により撃墜、ジャングルのただなかに墜落するところから始まる。
それによって二名のパイロットは死亡、軍曹であるところのプレイヤーキャラクタは、

• Pointman: La Duy Nhut (現地の先導役)
• Medic: Joe Crocker (負傷者を治療)
• Engineer: Thomas Bronson (弾薬補給ほか)
• Radioman: C. J. Defort (通信機を装備)
• Machinegunner: Hornster (機関銃手)

といった部下五名を合わせた小隊を率いて、友軍と再合流すべく密林を進まねばならない。樹々のうっそうと茂るその先には、ベトコンが罠を張って待ち受け、また移動や交戦の最中にも救援を待つ仲間からの無線連絡が入る。

この戦争においての実際の密林戦には米軍もかなり辛酸を味わっており、それは本作でも充分に再現されている。私もプレイ開始まもなくして落とし穴 + 竹槍のブービートラップにかかり、軽いパニックを起こした。そういう時のためには Pointman を先導させ、罠や敵の気配を事前に察知し、それを回避なり排除する必要がある。
他の仲間についても、ゲーム中は自分の側に呼び寄せ指示を出すことができる。このゲームにおける随伴 AI は、特徴づけられた各クラスによって、彼らそれぞれの存在価値を大なものとしている。

戦場である密林の再現率がまた高く、薄暗く生い茂った植物の隙間から見える遠くは霧がかっていて、日光といえば時折上空からほのかな木漏れ日がさすのみ。数メートル先の敵を判別できずに先手を取られても、植物に視界を奪われて敵影が確認できないために、マズルフラッシュ (銃口閃光) めがけて半泣きで乱射なんてこともしばしば。環境の厳しさを味わえる。
また環境音や効果音 (EAX およびマルチチャンネルミュージックに対応) の面においても、無線機の向こうからはノイズの混じった仲間の悲痛な叫びが響き、近距離で爆発があれば耳鳴りがし…といった演出や、ゲーム中に流れるムービーシーンの音楽に 60 年代当時の楽曲を採用していたりと、音質/音源ともにこだわって作られた印象を受ける。オプション設定画面ではボイスコミュニケーションへの対応も確認できる。

しかしこのシングルデモ、プレイ時間で言えば 10 分もあるだろうか、移動を何度か重ねて少し開けた場所に出ればあっけなく終わり。本当に少ししかこの世界を体験できないのが残念。
とは言え製品版では、夜間や洞窟に河川といったマップに、砲撃要請などのフィーチャーも揃っているらしいので、ぜひ機会があればやってみたいと思う。

20030527

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