GTA 3 以降、3D になった Grand Theft Auto シリーズの三作目 (累計六作目)。今回も GTA 3 や前作 GTA: VC 同様、シリーズ一作目に登場した San Andreas (サンアンドレアス) という架空の都市 (正確には SA はそれ自体が都市ではなく、さらに大きい「州」規模のもの) が舞台となっている。GTA 3 以降の三作の時間軸と、モデルになった地域の設定は下記のとおり。

疑惑に包まれた母の死を知り、五年ぶりに生まれ故郷の Los Santos (ロスサントス) に戻った黒人青年 CJ こと Carl Johnson (カール・ジョンソン) は、かつて実兄や実弟らとともに Grove Street Families (グローヴストリートファミリー) というギャング組織に属していたが、その活動の中で直面した弟の死をきっかけに、その後はひとり Liberty City (リバティシティ) へと身を移し、本人いわくまじめに働いていた。
だが再び戻った Los Santos では、タクシーで空港を出てまもなく、馴染みの悪徳警官 Frank Tenpenny (フランク・テンペニー) とその仲間によりパトロールカーへと拉致され、警官殺しの濡れ衣を着せられた挙句に Grove Street Families と敵対する組織の縄張りのど真ん中に放り出されてしまう。
どうにか家に帰り着き、兄やかつての仲間たちとともに母の墓参りへと向かうものの、そこでさえ敵対ギャングの襲撃を受ける始末。衰退した組織の様子を目の当たりにした CJ は、この街に留まり組織の再興を決意する…というのが物語の導入部。
以降は Los Santos に San Fierro (サンフィエロ) と Las Venturas (ラスベンチュラス) を加えた三つの大都市と、その間に点在するいくつかの田舎町に活動拠点を広げ、そこでさまざまな人物の依頼を受けることで、活動内容もギャングの組織間抗争の枠を越えた多岐に渡るものへとなってゆく。

メインとなるシナリオはこれまで同様犯罪をモチーフにしたものが中心だが、今作では食事や散髪、ジム通いによる肉体鍛錬、車両の改造ほかの新要素が追加されており、その行動範囲の広さとも相まってゲーム的ボリュームは大幅にアップしている。約 4 GB というシリーズ最大のゲーム容量からも、その規模の大きさが窺えるだろう。広くなったマップを実感できるものとしては、都市間、およびその内部に張り巡らされたフリーウェイと、鉄道に航空といった各種長距離輸送手段の充実がある。
さらに驚くべきはそのデータの扱いで、過去の 3D 系二作品が都市の中の区間移動ごとにデータ読込を行なっていたのに対して、本作は完全なるシームレスを実現。広大な空間をデータ読込に煩わされることなく移動することができる。

グラフィックオプションでワイド画面にも設定可能

ギャングたちがしのぎを削る Los Santos、坂と海の街 San Fierro。そして砂漠とカジノの Las Venturas。メインのシナリオやその他のミッション、それからおなじみの隠しアイテム収集に日常生活 (ガールフレンドとの交際も可能に) …と、よりいっそうの充実を遂げた GTA: SA。例によってカーラジオという設定のゲーム音楽も、90 年代当時のナンバーを中心にヒップホップからカントリーまで多く用意されている。
散歩や観光気分で軽く楽しむことも可能だが、やはりじっくり腰を据えて細部まで遊び倒したい一本。ギミックや登場人物など、シリーズファンには思わずニヤリとさせられる場面も数多く用意されている。

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