シリーズ初のフル 3D 化で臨場感もぐんと増したアクションゲーム。アメリカ最悪の都市とされる Liberty City (リバティシティ。モデルは New York) を舞台に、プレーヤーは陸海空の乗り物と幾多の武器を駆使し、マフィアやヤクザといったギャングの間を渡り歩いては数々の犯罪劇を引き起こす。

しかしこのゲームの最も大きな魅力は、これまでのシリーズ作品同様、本編のシナリオに関係なく自由に街を徘徊する楽しさだろう。ゲームの肝であるカージャックによって特殊 (警察・救急・消防) 車両やタクシーを手に入れた際には、キーひとつで『サブミッションモード』を発動し、車種に応じたミニゲームで所持金を稼ぐことができるようにもなった。ほかマップ中の隠しパッケージを探し集めてボーナス効果を得られたりなど、とにかく楽しみ方は無数にある。

家庭用機 PlayStation 2 でも先行リリースされているが、PC 版ならではの楽しみとしては、プレイヤースキン作成や MP3 プレイヤーといったデフォルトの追加機能から、Mod 使用などでのファイル書き換えが楽しめるといった点があるだろう。快適動作のために要求されるマシンスペックはやや高いが、遊びがいも充分に大きいゲームだ。

前述のとおり自由度の高さはこれまでのシリーズ同様、さらに今回 3D になったことでさまざまな奥行きが得られたという点においては大きな進歩があったとも言えるが、反面シナリオ性が強くなったことによる制約もいくつか出てきているようにも思える。

最も厄介なのが町を徘徊するギャング達。Liberty City 内の三つの島で各ギャングは縄張り争いを繰り広げており、フリーランスの犯罪者である主人公は彼らの依頼を受けては結局すべてのギャングに手を出してしまうことになるのだが、そうしたことを続けていれば当然面も割れるじゃんということだろうか、ある程度シナリオを進めると、通りに顔を覗かせただけでギャング達の攻撃を受けるようになる。
前作 GTA 2 にもギャングごとの好感度的パラメータは存在したが、あちらはある程度調節可能だったのに対し、本作のそれは完全固定になってしまった。それでもシナリオを進めないことには行動可能な範囲は狭いままだし、ここに生まれるジレンマに悩んだプレイヤーも少なくはないのではなかろうか。

そして別の機会にも少し触れたことがあるが、ここまで現実の街を再現できるならば無理に犯罪劇の中にプレイヤーを置くのではなく、本当に自由に振舞うことを許してくれてもよかったと思う。
主軸のシナリオ展開を二の次にしろとまでは言わないが、せめて本編クリア後には制約フリーで徘徊できるモードを追加するとか、そういう選択肢を残しておいてほしかった。

そのあたりを我慢できれば、各ミッションや隠しアイテム集め、スキン作成とわりと幅広く遊べるゲーム。贅沢を言うならプレイヤーカスタマイズはスキン以前のモデル選択あたりからできた方がうれしかった気も。
もうひとつ思い出した。トラクターによる牽引。これまた前作で可能だったのに本作でできないことのひとつ。各種車両のモデルはゲーム中に登場するし、いちおうやろうとする試みはあったのだろうか。残念。

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